関西新空港の地盤沈下問題
関西空港の1期事業で事業費が1兆円が1兆5000億円と5割オーバーした原因の地盤沈
下は当初予測を8Eが12.5E(1.56倍)となった中で2月7日NHKが「地盤沈下問題」
を検証する放送がされた。その中で初代の元竹内良夫社長は
「地盤がどれだけ沈むかの議論はしなかった」と言い、工事に掛
かることしか考えなかったと言った。

番組は冒頭で
世界初の本格的な海上空港、今ここで思わぬ事態が起きています。開港からわずか6年で
すが、至るところにひび割れが走っています。駐車場を支える土台は歪んで壊れて航空機
を滑走路に導く誘導路はおーきく波打っています。海を埋め立てて造った為ある程度の地
盤沈下は予想されていました。しかし既に50年後の予測を越えているところもありま
す。

三笠正人「沈下検討委員」(大阪市大名誉教授)
今の沈下状況を見ているとどうも予測よりもだいぶん進むのではないか。
国谷祐子アナウンサー
土木技術の粋を集めて造られたはずの関西空港、そこで何が起きているのか?
その実態に迫ります。

国谷
沖合い5キロ水深18Eの海を大量の土砂を埋め立てて造られた巨大な空港島が今予想を
上回るスピードで沈んでいます。
こうした状況の中でその沖合いでは2つ目の滑走路を造るための人工島の建設が同じ方法
で始まっています。
海を埋め立てますと地盤沈下が発生するわけなんですけれども、その問題となるのは沈下
の度合です。沈下の状況ですが先月末に空港会社が発表した測量結果によりますと空港島
の平均20センチ沈んでいます。予測と比べて2倍の沈下です。厄介なのはこの沈下が均
等に沈んでいないということです。
最も激しく沈下をしている一つが、空港ターミナルの中央のこの当たりです。
そして6年ほどになりますけれども2E、予測が1Eですから2倍の沈下が進んでいま
す。最新の技術を使って造られました関西空港、費用と人手を使って沈下対策におわれて
います。

<沈下の状況が写出されていく>

初代竹内良夫元社長は
洪積層が何メートル下がるか沖積層が何ぼ下がるか議論しても始まらないわけですよ。実
際問題として社内ではそう言う議論はしませんね。していません。それは与えられたもの
をとにかくスタートする、実行して行く。それに全力を注いだんで・・・。
国谷
開港後の実測データーから検討委員会の委員の多くは空港会社の予測通りには終息しない
だろうと言っている。
三笠正人「沈下検討委員」(大阪市大名誉教授)
空港会社の沈下データーからは僕の判断でそれを延長しますと後2E(13.5E)程度は
行くと僕は見ています。これは他の委員も(その見方は)変らないですね。同じ程度の予
測をしている委員の方が多いですね。

関空の坂井利充常務は
平均的な沈下量は11.5Eと従来予測しているわけですが、最近の分析ではだいたい50セ
ンチメートルの幅は見なければならないかなーと思っている。さらにどんどんどん(沈ん
で)行くかと言うことは現段階では想定していません。
国谷
専門家は1期と同じ方法では島の完成そのものが危ういと言っている。
三笠正人
もう限度に来ていますね。1期と同じような工法でやるんであれば2期はぎりぎり危ない
ということですね。
赤井浩一「沈下検討委員会委員長」(京大名誉教授)
最終的には完成はするでしょう。難儀なことがかなりあるでしょうね。(それでも)やる
でしょうね。それでもやるというのであれば。笑い事ではないですよ。大変な大変な工事
ですよ、それは。

国谷
関西空港が予測を上回るスピードで沈下している中で既に2つ目の滑走路を造る人工島を
同じ方法で建設が始まっていることに、専門家がそーとう懸念し、心配していましたけれ
ども、専門家でなくても心配になってしまいますね。
菅井賢治(大阪NHK)
2期事業で空港会社は18E沈下するといっている。今度は盛り土は40Eほどになりま
す。「洪積層の沈下事態がどこまで沈むのか、どこまで下に続いているのか」ということ
が分かっていないということで1期の時と同じように「分からないところが多い」という
ことで予測事態に疑問を投げかけているのが、専門家の意見です。
国谷
2期は同じ方法を使って建設するということですね。
菅井
1期の経験を使って面密な予測を計算をして、同じ方法で2期を埋め立てると空港会社は
言っています。
国谷
沈下は始めの予測は甘くて、最新の予測でもこれも「甘いのではないか」といわれている
わけですね。なぜ、甘い甘い予測のままで工事は進められていくのでしょうか。
菅井
1期工事の場合なんですけれども、空港会社は「専門家の予測は参考程度に留めた」予測
を決定したのは当時の運輸省や空港会社だったのです。その背景には『全体の予算を抑える』と言うねらい、理由の他にも「仮に予測を越える事態になっても工事や費用はその時
になって追加すればよい」という考え方があったと言うことです。
問題を先送りし将来に付けを残す事につながったわけです。
国谷
「計画先にありき」、とにかく進めたいという様な感じがものが伺えるわけなんですが、
今、公共工事を巡りましては「費用対効果」(という事が言われていますが)本当に適切
なものなのか、『一度始まったものでも見直そう』と言う動きが出ていますけれども、こ
うした関西新空港の地盤沈下の状況を踏まえて、本当に2期工事は行われているのでしょ
うか?
菅井
2期工事に付いてはですね、これから進める前に“1期をしっかり検証する”という事が
必要になってくるかと思います。
この空港会社は国などが出資をする第3セクターですが、今回の地下水対策工事の費用だ
けで270億円かかりますが、この4分の1程度は税金が投入されるわけであります。地
盤沈下の問題は国民負担の増加にもつながっているわけなんですね。
1期工事の沈下を厳密に検証すること、海底の地盤に付いて更に詳しく研究することが求
められていると思います。